東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)294号 判決
原告の主張する審決取消事由の存否について検討する。
本件審決が、昭和五六年九月二五日になされたものであり、その内容が、本願商標は引用商標と類似の商標であり、かつ、指定商品も同一又は類似のものであるから、商標法第四条第一項第一一号の規定により、登録することができないというものであることは、当事者間に争いがない。そして、引用商標の商標権が昭和三六年一一月六日に登録されたもので、昭和五六年一一月六日に存続期間が満了して消滅したこともまた当事者間に争いがない。
そうすれば、本件審決がなされた昭和五六年九月二五日の時点において、引用商標の商標権がなお有効に存続していたことは明らかであるから、これを「登録商標」として商標法第四条第一項第一一号の規定を適用した審決は適法であり、違法のかどは存しない。
原告は、本件審決のなされた昭和五六年九月二五日の時点において、引用商標の商標権が同年一一月六日に消滅することは確実であり、しかも、その事実を特許庁は容易に確認することができたのであるから、審決は違法である旨主張するけれども、裁判所が審決の違法の有無を判断する判断の基準時は審決のなされた時点と解すべきものであり、その後の後発的事由によつてこれを判断すべきものではないから、原告の主張は理由がない。
よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。